盆踊り中心の生活

盆踊りや祭りの体験記。身体で心で感じたことを綴っていきます。あぁ、明日はどこで踊ろうか。

水の生まれる城下町で朝まで踊る!【郡上おどり①】

岐阜県を流れる長良川と吉田川が交わる場所、郡上市八幡町(通称 郡上八幡)で何ともエキサイティングな踊りがある。『郡上おどり』だ。

日本三大盆踊りに数えられ、なんと7月中旬から9月上旬までの32夜開催される。そのうち8月13日から16日の期間は徹夜踊りと言って、夜の8時から翌朝の5時頃まで約9時間踊り続ける。これがすごいのだ。みうらじゅんの言葉を借りれば、DS(どうかしてる)なのだ。

と言っても、江戸時代は各地で当たり前のように朝まで踊り明かしていたらしい。なんという有り余るエネルギー!その江戸時代の空気を感じることの出来る郡上おどりは、約400年ものあいだ踊り継がれ、現在は国の重要無形民俗文化財に指定されている。

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一度訪れたら虜に・・・郡上八幡の風景

郡上おどりの舞台、郡上八幡は古い町並みが残っており、そのあいだには美しい水路が走る。夏の暑い日差しに照らされて川の水面はキラキラと光り、足先を浸けると体の芯まで凍るようにキンと冷たい。

通りでは屋台の準備が進められ、これから起こる出来事を予感させ、ワクワクする。

吉田川に架かる橋の上を見ると、身を乗り出し湧き上がる恐怖と戦いながら、川を見下ろす人が。河原には、不安そうな表情とは裏腹に期待に胸を膨らませ、橋を見上げる人々。次の瞬間、その人は川の大きなうねりにすーっと飲み込まれていった。少しの沈黙のあと、その人がうねりの中から這い出てくると、大きな拍手が巻き起こった。いわゆる “度胸試し” である。おそらくビルの5階くらいの高さはあるであろう所から飛び降りるなんて・・・ワタシは絶対にしたくない。これこそDS!!(どうかしてる!!)

しかし、そんな光景を含めワタシはいつの間にか、どこか懐かしく風情や情緒という言葉がよく似合うこの場所の虜になってしまっていた。

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バリエーション豊か! 郡上おどりの種類

郡上おどりは10曲もの踊りがある。

『かわさき』『春駒』『三百』『ヤッチク』『古調かわさき』『げんげんばらばら』『猫の子』『さわぎ』『甚句』『まつさか』

これらの曲がランダムに演奏され、人々はそれに合わせて巧みに手や足の動きを変えていく。

かわさきは、郡上おどりを代表する踊りで、歌詞の「郡上の八幡出てゆくときは 雨も降らぬに袖絞る」は郡上おどりを巧みに言い表している。

春駒は、全国的にも広がる有名な踊りで、「七両三分の春駒春駒」という掛け声と共に、飛んだり跳ねたりするテンションの上がる踊りだ。

げんげんばらばらは、「げんげんばらばら 何事じゃ」という一節から始まる。この踊りだけなぜか反時計周りに進んで行く。あともう少しで一周だ!というときにこの曲が流れると、「3マス戻る」のように少し切ない気持ちにもなる。

猫の子は、その名の通り、仔猫になりきって踊る。よく耳をすましているとどこかから、「ニャオ〜〜ン」という猫の遠吠えが聞こえてくる。ぜひ恥じらいを捨て、なりきって踊って欲しい。

まつさかは、昔からの伝統でその晩の最後に一度だけ踊られる、ゆったりとした情緒のある踊り。「シメのお茶漬け」的な存在。(いや、もっと深く意味のあるもの)

 

こんなにたくさん覚えられないという方でも大丈夫。ゆるやかで単純な動きの踊りも多いので、輪の中に入って周りの人を見ながら(教えてもらいながら)まずは踊れそうなものから踊ろう。

完璧に覚えてから挑みたいという気合いの入っている方。実は「郡上おどりレッスンDVD」なるものが出ていて、画面の中の粋なおばちゃんたちが踊り方を丁寧に解説してくれる。ワタシは郡上に来る前に、盆踊り好きの友人と一緒にそのDVDを見て猛特訓した。

 

シュミレーションはばっちり。日も暮れてきた。

さぁ、浴衣に着替え下駄を履いたら、いよいよ徹夜踊りのはじまりだ! 

 

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つづく