盆踊り中心の生活

盆踊りや祭りの体験記。身体で心で感じたことを綴っていきます。あぁ、明日はどこで踊ろうか。

《うたたねで踊るvol.1》盆踊りの記憶

今日は実家がある新潟に帰る予定だった。

しかし、風邪をひき、一日中布団の中で過ごす羽目になってしまった。

 

こんなに身体が重く、頭がボーっとしているのにも関わらず、ワタシはまた盆踊りのことを考えていた。

 

 

幼い頃の記憶を遡った。

毎年お盆の頃になると、家族みんなで隣町にあるおじいちゃん、おばあちゃん、いとこ達が住む家に遊びに行く。

築180年ほどになるその家は、改築を繰り返して、もはや迷路か忍者屋敷のようになっている。幼いワタシ達にとっては格好の遊び場だった。

ワタシはその家が大好きだ。ワタシが住んでいた町ナカにある家よりも、自然が豊かで、田畑に囲まれ、水が流れ、様々な木や植物が生え、虫もたくさんいた。

新潟というと豪雪のイメージが優先されるが、ワタシ達が住む場所は盆地ということもあり、夏はうだるように蒸し暑い。その家にはもちろんクーラーなどはなく、扇風機と、家を通り抜ける風で暑さをしのいだ。畳に身体をベタッと張りつけると少しひんやりして気持ちがよく、畳の匂いも心地よかった。

 

幼いワタシと兄、いとこはアイスを咥えながら夢中でゲームをしたりビデオを観て過ごす。 飽きると、外に出て川で遊び、カブトムシかなんかを探す。夜になると花火をして遊んだ。

 

 

鮮明に覚えているのは、肝だめし大会だ。

家の敷地の横にお墓が並んでいて、その隣に2畳分くらいの小さな建物がある。障子を開けると、中にはお地蔵様がいて、そのお地蔵様にお菓子をお供えして、代わりにお札を取ってくるというものだ。昼間だったらなんら怖くないのだが、夜になると一変、あたりは暗闇に包まれ、時折生暖かい風が吹いてくる。そこを小さな懐中電灯を持って、1人づつ行かなくてはいけないのだ。

「行きたくない!」と泣きべそをかきながら必死に抵抗するが、いつも何故だかやる羽目になる。

タチが悪いのは、おばさんが自主作成した、怖いBGMとお化けの声を吹き込んだテープを流すのだ。(ヒュードロドロ〜うらめしや〜みたいな感じの)

無駄にクオリティが高く、いち家庭でやるには手が込みすぎているだろと子供ながらに思った。

 

無事に行って戻ってきたご褒美が何だったのは全く思い出せないのだが、とにかく怖かったという記憶だけは鮮明に残っている。

今でもお化け屋敷が苦手なのはこの時のトラウマなんじゃないだろうか。

 

 

 

そして、近くの神社でやっていた盆踊り大会にも出かけた。そこでは仮装大会があり、大人から子供まで様々な仮装をして踊る。その日は朝から、おばさんと一緒に、ダンボールや色紙などで自分のなりたいものを作る。

それなりに楽しかったはずなのだが、仮装するのがとても恥ずかしかったのを覚えている。幼い頃のワタシは今よりもさらに内弁慶で、キャラクターになりきってポーズを決めている兄やいとこの横でひとり恥ずかしさと戦っていた。

盆踊りを踊っていたかどうかの記憶は曖昧なのだが、提灯の灯りと櫓の上で太鼓が鳴っていたのは覚えている。恥ずかしさと戦いながらも、やっぱりお祭りの雰囲気は大好きだった。

 

といっても、夢レベルの記憶しか残っていないし、もしくは本当は夢だったのかもしれない。でも思い出すと温かい気持ちになるのは確かなのだ。

 

いつからか仮装大会に参加しなくなり、今はおそらく、その盆踊り大会もなくなってしまった。

 

お盆が過ぎてもまだ夏休みは続いたが、おじいちゃんやおばあちゃん、いとこ達と離れ、また日常生活に戻ると思うとさみしくなった。幼い頃のワタシにとっては、たかが隣町でも立派な旅行だった。

 

 

 

ワタシの中の「盆踊り」は、これらの幼い頃の「暑い・怖い・恥ずかしい・楽しい・さみしい」という感情が絡み合って形成されている。

 

 

盆踊りに対して、人はどんなことを想うのだろう。なんとなく "懐かしい" という気持ちになるのは、盆踊りが多くの人の記憶の道を通ってきたからではないだろうか。もしかしたらそれは、現世を超えて辿り着いた記憶かもしれない。

盆踊りは宗教的なものであったり、コミュニティの場であったり、伝統文化であったり、様々な解釈を持つが、同時に、人それぞれの記憶の中の感情を揺さぶるものである。それぞれがそれぞれの記憶と共に踊っている。

ワタシは踊っていて、そんな気がするのだ。

 

 

大人になった今、内弁慶も少しはマシになり、気付けば、盆踊りの輪に飛び込んで踊ることも厭わなくなった。なんなら、喜んで仮装したい。

 

 

そして、幼い頃の自分に伝えたい。

「踊れ!恥ずかしくても間違えてもいいから。

そして、、コスプレは楽しいぞ!」

 

 

 

ワタシはあの頃の記憶に少しでも近づきたくて、これからも踊ってしまうだろう。

 


、、その前に風邪を治すことが先決だ。

 

f:id:iro_sai:20170415182618j:image

 

 

※《うたたねで踊る》は、うたたねをしている時のように、夢と現実をさまよいながらゆるりと綴っているので、ゆるりと読んで下さいませ。